コト・モノ・ヒト

 いろんなコト、いろんなモノ、いろんなヒト

最悪の結末、最良の決断

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南青山の高級マンションに重大な欠陥が見つかり、建て替えが決定した。建て替え費用は施工を行ったK島建設とK電工が負担するとのこと。ディベロッパーであり設計・監理を行ったM菱地所は、費用負担は現段階では行わない様子。  

今回発覚した欠陥は配管のために空けられるスリーブ(穴)位置のずれや、空け忘れが計751箇所。そのためにあとから行われた「コア抜き」のうち、200箇所が不適切に行われたことによるもの。 

欠陥が起こった原因は、図面の内容に食い違いがあったということ。でもおかしいのは設計・監理者は施工者が描いた「施工図」が描かれた時点で間違いがないかチェック・承認しない限り工事は行えないルールになっている。そして食い違いが約6000箇所のうち751箇所もあって、設計・監理者が気づかないわけないじゃーん。と思うわけです。そこで私の考察。  

近年の低層型マンションは各住戸プランに統一性があまりなく、方角や階や価格帯によってプランが大きく異なり、パズルのように入り組んだ住戸プランは設計・施工を複雑にする原因になっている。さらにマンション業界は時代によってトレンドがある。大規模なマンションになるほどプロジェクトの期間は長く、設計時のトレンドと完成時のトレンドが変わってくることもある。これは住戸プランにもいえること。  

ディベロッパーは時代遅れの売りにくいマンションを作るわけにはいかない。そして建築業界においてディベロッパーの力は非常に強く、設計が完了して工事が着工していても、販売用のパンフレットを作る段階になって住戸プランの変更を申し出てくる場合もある。  

今回の欠陥(施工ミス)はプラン変更による図面変更が現場の進捗に追いつかなかった、または図面の取り違えによって起こったミスなんじゃないかと思ってる。でそのミスに気づかないわけがない設計・監理者にも少なからず責任があると思うのは当然のことなのですが、なぜ施工者が言い返さないか。それはディベロッパーは施工者にとって大事なお得意様だから。 

今回のミスが引渡し後に発覚していたら「施工ミス」ではなく「事件」になっていたに違いないので、某掲示板への書き込みによって発覚し、引渡し前に建て替えが決まったことはよかったことだと思う。

現在工事中の現場で同じようなことが起きていて、ミスを犯した施工者、ミスを見逃した設計・監理者はたくさんいることでしょう。国土交通省が原因究明に乗り出すまでもなく、原因は業界人であればはっきり分かることなのだから、この事がきっかけで両者が協力しあってミスが起こらぬよう改善されていけばよいのですが。

 

あ・・・ちなみに本文と写真は無関係ですw